『“わたしの夢”応援プロジェクト』vol.2 香川真司さん 取材リポート

2016/06/17

エンターテインメントによって「心の復興支援」を目指す一般社団法人チームスマイルが、被災地の子どもたちの夢の実現を後押しする『“わたしの夢”応援プロジェクト』。2大会連続オリンピックメダル獲得の偉業を成し遂げた女子マラソン・有森裕子さんの講演会を催した記念すべき第1回から1ヵ月、待望の第2弾イベントが6月10日(金)・仙台PITで開催された。香川真司選手と専属契約する谷田亮太トレーナーを迎え、『世界でたたかうサッカー選手のストレッチとは』が行われたのだ。

当日は仙台PITといわきPIT、釜石PITとを中継で繋ぎ、200名近い小学生が参加。谷田トレーナーが腕が伸びるストレッチや前屈ができるようになるマッサージなどを教えると、子どもたちは思わず「うわぁっ!」と驚きの声。香川選手の自宅に程近いホテルに住み込み、ブンデスリーガやチャンピオンズリーグを戦う日本代表のエースをサポートする谷田トレーナーは「香川選手のサッカーが好きという点は本当に尊敬できます。自主トレーニングの途中でも、子どもたちがサッカーをしているとそこに入っていくくらいサッカーが好きです。みんなも大好きなサッカーをがんばってください」とメッセージを送った。

と、そこで、サプライズゲストが登場。話題に上った香川選手が壇上へ。子どもたちはまさかの展開にきょとんとして驚きの声も上がらず、いち早く保護者の歓声が。『キリンカップサッカー2016』ブルガリア戦で、2ゴールを挙げながら、わき腹打撲で途中交代した香川選手がなぜここに? 実は香川選手、チームスマイルの趣旨に賛同し、アンバサダー(東北PIT応援大使)を務めているのだ。チームスマイル矢内廣代表理事が、香川選手のアンバサダー就任の裏話を明かした。

「チームスマイルへの協力をお願いしに伺ったら、香川さんは二つ返事で了承してくれました。それだけではなく、『矢内さん、僕は名前を貸すだけでは嫌ですよ。必ず東北へ行きます』と言ってくれましてね。こんなに早くイベントを実現できて、うれしいことです」

神戸出身の香川選手が中学入学と同時に、仙台のFCみやぎバルセロナへサッカー留学をしていたのは有名な話。セレッソ大阪との契約を勝ち取るまで4年半を過ごした仙台、東北への愛着は相当なものだ。東日本大震災から5年経った今年3月11日に仙台PITがオープンした際も、香川選手はお祝いメッセージを届けてくれた。そこでも香川選手は「僕もシーズンが終わったら必ず仙台へ行きます。PITで会いましょう」とキッパリ。プロへ進む礎を育んでくれた仙台・東北に感謝し、震災に心を痛め、その痛みを忘れない香川選手にとって、今回のサプライズ出演は、驚きでも何でもない当然の出演と言えよう。

話をイベントに戻そう。香川選手は「中学高校と仙台でサッカーをやってから、プロになれました。仙台・東北の人のおかげです。(毎年訪れて)とてつもないパワーにもらっていますし、モチベーションにもなります」と語った。さらに「自分自身、小中高と飛び抜けた才能を感じたことはない。誰にでも可能性はあると伝えていきたい。みんなには自分を信じてチャレンジしてほしい」と子どもたちに言葉を送った。

次々と夢を実現してきた稀代のMFは、夢を持つ重要性を説く。もちろん、夢は必ず叶うなんて安易には言わない。

「僕も子どもの時からJリーガーになりたいと夢を持ち続けました。夢があったから今があります。みんなには大きな夢を持ってほしい。夢が叶うかどうかはわからないけれど、チャレンジすることが大事だと思います」

さらに保護者にも「夢を持つことに年齢は関係ありません」とエールを送った。

本人が「何でも答えるよ」と宣言した質問コーナーでは、すかさず「年俸はいくらですか?」とキラーパスを放つ猛者が現れたり、「質問ではなくてサイン入りユニフォームをください」とおねだりしたいわきPITの参加者の勇気を称え、舞台上で香川選手が日本代表ユニフォームにサインを入れる一幕も。以下のように、子どもたちの質問に香川選手は真摯に答えていった。

Q. 今の目標は何ですか?
「(ドルトムントの一員として)来季はブンデスリーガとチャンピオンズリーグでどれだけの結果を残せるか。それと(日本代表では)9月に始まるアジア最終予選でしっかり結果を出すこと」

Q. サッカーを始めたきっかけは何ですか?
「年長の時にJリーグが始まって。Jリーグの試合や選手を見て、僕もJリーガーになりたいと思ったのがキッカケです。サッカーだけではなく、野球やバスケも好きでしたよ」

Q. ボールコントロールがうまくなるにはどうすればいいですか?
「技術系トレーニングが大事なので、毎日ボールに触れること。継続することが上達する近道です。止めて・蹴るという基本的な練習が大事」

Q. 得意の技は何ですか?
「ターンしてドリブルやシュート。それが自分の強みです」

最後に仙台PITの子どもたちと記念撮影し、一枚一枚直筆のサインを入れたポストカードを配り、『“わたしの夢”応援プロジェクト』第2弾は幕となった。

イベントを終えた谷田トレーナーが「子どもたちの素敵な笑顔をたくさん見られて幸せな時間でした」と言えば、香川選手も「短い時間でしたけど、みんなに会えてよかったです。子どもたちが夢を持つキッカケを少しでも掴んでくれれば。子どもたちと触れ合うとパワーをもらえるし、彼らの純粋な反応や応援は力になる。今後も子どもたちに憧れてもらえる存在であるようにがんばります」と同調した。

さらに香川選手は、すぐに次を見据えていた。

「(『“わたしの夢”応援プロジェクト』は)1回きりではなく、継続してやっていきたい。今回は室内だったので、次はグラウンドでサッカーをやりたい。子どもたちと体を動かして触れ合いたいですね」

イベントを見届けた矢内代表理事は「谷田さんのストレッチはびっくりしました。本当に腕が伸びましたものね。ああやって、子どもたちが一気に興味を持つメニューを組まれるのはさすがですね。(継続していきたいという)香川さんのコメントもうれしいです。ぜひ続編をやってほしいですし、我々も考えていきます」と約束した。

そして『“わたしの夢»応援プロジェクト』第2弾に参加した子どもたちは「香川選手が急に出てきてびっくりした」「スターのオーラがすごかった」「僕もサイン入りユニフォームを頼めばよかった」「ストレッチで体が柔らかくなって驚いた」と口々に喜びの声を発した。その顔はどれも満面に笑みをたたえていた。

● 取材/文:碧山緒里摩