7/29(土)“わたしの夢”応援プロジェクト vol.11「映画+受験必勝トーク 受験アドバイザー 和田秀樹さんと受験を語ろう」いわき市内視察の様子&イベントレポートをアップしました。
2017/08/04
一般社団法人チームスマイルによる、被災地の子供たちを元気づけ、その夢の後押しをするための「“わたしの夢”応援プロジェクト」。
11回目となる今回は、精神科医・和田秀樹さんをお迎えし、『映画+受験必勝トーク 受験アドバイザー 和田秀樹さんと受験を語ろう』と題したイベントを、いわきPITで開催しました。
泉駅に到着
いわき市内に到着した和田さん一行は、まず最初に小名浜地区にある「いわきそろばん教室」を訪問。教室では、20名ほどの生徒たちと一緒に、小林先生が迎えてくださいました。
和田さん自身も子供の頃そろばんを習っており、それによって計算力がとても鍛えられたと言います。計算力をつけることの重要性について、今話題の棋士・藤井聡太四段を例に挙げ、子供たちに説きました。
「藤井君は瞬時に100手くらい思いついて、頭の中でそのいろんなパターンを試し、そのうちの1手を選んで勝つということをしている。それが計算力なんだよね。あなたたちも将来、中学高校に進んで数学を学ぶときが来るけど、計算が遅い子はすぐに諦めちゃう。でも、計算が早い子は色々試そうとする。だから、計算が得意な子は、数学が得意になる。大切なのは、こっちがダメだったらこっちを試してみよう、という“試行力”」
「“思考力”ではなく“試行力”が大事」と和田さん
真剣なまなざしで和田さんのお話を聞く子供たち
最後に、小林先生より「せっかくなので、みんなで読上算をやってもらおうと思います」と、和田さんへ読み上げのお願いが。「願いましては――――」と読み上げが始まると、パチパチとそろばんをはじく音が教室中に響きます。簡単な問題から難問まで、回答してくれた子たちはみんな見事に正解し、先生がほっと胸をなでおろす場面も。
静かな教室に、そろばんを弾く音が響きます。
中には暗算で挑戦する子も
小学校低学年から高学年の生徒が入り混じる中、
みんな勢いよく手を挙げます
最後はみんなでそろばん片手に、「そろばん頑張るぞー!」の掛け声で記念撮影
生徒たちの拍手に見送られ、そろばん教室を後にした一行は、そこからほど近くにある水族館「アクアマリンふくしま」へと向かいました。
小名浜の海岸にひときわ目立つ建物
光と風を取り入れた、とても開放感のある水族館です
「アクアマリンふくしま」は2011年3月11日の地震発生時、幸いケガ人はいなかったものの、電気・ガス・水道が止まってしまうという大きな危機に直面したそうです。自家発電だけでは、全館の飼育環境を到底保つことができず、カワウソやトド、ゴマフアザラシなど、珍しい生物をまずは県外の水族館に移動させました。大震災の混乱の中、スタッフみんなで残った生き物の世話を懸命にしましたが、水質や温度の管理が追いつかずに次々と死んでしまい、結果的に約20万匹の魚を失ったそうです。
入口ゲートに到着すると、館長の安部義孝さん(左)がじきじきに出迎えてくださいました
イワシの大群を前に、安部館長のお話を聞く矢内代表と和田さん
震災時のご苦労を聞きながら、安部館長自らのご案内のもと館内を歩きます。
こちらの水族館は敷地も広大で、建物もとても立派なのですが「生物にショーをさせない」「海の生態系に沿ってなるべく自然な形で生物を見せる」といった理念も、すごくしっかりしているのです。
「熱帯アジアの水辺」コーナーで
昼食には、泳いでいる魚を眺めながら食べる、「寿司処 潮目の海」へご案内いただきました。お店の入口には、「水槽の目の前に寿司屋を開店することは、私の念願だった。魚食文化のありかたについて、強いメッセージを送ることができるから」と、安部館長の思いが掲げられています。
東北産の魚を使ったお寿司を頬張る和田さん
目の前に広がる大きな水槽を眺めながら海の幸を味わいます
最後に3人でインタビューを受け、安部館長のお話に復興への確かな足取りを感じつつ、一行は水族館を後にしました。
「6年もの休漁期間があったのだから、どこよりも美味しい魚が育っているはず」と胸を張る安部館長
さて、場所をいわきPITに移し、いよいよ本番が始まります。
会場に到着すると、すでに高校生たちが並んでいました
イベントの前半は、和田さん監督作品の「受験のシンデレラ」の上映会。この作品は、2007年モナコ国際映画祭で、最優秀作品賞ほか計4部門を受賞しています。貧乏で大学進学など考えてもいなかった主人公・真紀が、敏腕受験コンサルタントの五十嵐と偶然出会い、二人三脚で東大合格を目指すヒューマンドラマです。
上映会の終盤には、客席からすすり泣く声も
劇中には「受験の要領 38箇条」が。学生たちの目も真剣になります
イベントの後半は、和田さんによるトークショー。テーマは、「格差社会を勝ち抜く勉強法」。フリーターが増加傾向にあることや、その結果、「経済生活問題」で自殺する50代以上が増えているというデータを示し、「お金が入ってこなくなって絶望する人が増えている」と、昨今の日本の社会問題を危惧しました。また、日本のTOEFL平均点がアジア諸国の中で最下位にあることや、学生の勉強時間が隣国に比べて少ないという事実に、警鐘を鳴らします。
さらに、「大学受験を乗り越えることによって、記憶力や推論能力が鍛錬され、自己分析能力や情報収集能力を身につけることができる。蹴落とし合うのではなく、みんなで助け合って勉強したほうが受かりやすいということを、受験勉強を通して気付いて欲しい」と、学生達に力強く話しました。
「莫大な借金がある日本の未来、福祉が今以上に良くなるとは思えない。ちゃんと勉強して何かしらの資格を取っておくべき」と和田さん
トークショーの後にはQ&Aコーナーが設けられ、観客の学生たちから次々に手が挙がりました。
「医学部に行きたい。勉強が何より大事だとわかっているが、それ以外に大切な事は何か?」
「センターまであと半年で、気持ちが焦ってしまう。この時期をどう過ごしたらいいか?」
「クラスのみんなで丸付けをしていて、自分だけできていないとすごく落ち込んでしまう。この考え方から抜け出すには?」
などの質問に、誠実に丁寧に答える和田さん。
終演予定時刻を過ぎても挙手がやまず、惜しまれながらの閉幕となりました。
「周囲に引きずられて、どうしてもモチベーションが下がってしまうことがある。どうしたらいいか」と質問する男子高校生には、「落ちたら損、受かったら得ということを知って欲しい。より良い学校に行った方がモテる(笑)」と和田さん
「勉強を始めて、スイッチが入るまでに時間がかかる。何か良い方法はないか」という質問には、「ノリの良い時間帯を探す。深呼吸をしたり、笑う。単純計算を5分やる。好きな曲を1曲、声を出して歌う。人それぞれだから、今のうちに見つけておくと大人になっても使えるよ」とアドバイス
「勉強ができないのは頭が悪いからじゃなくて勉強法を知らないから。勉強法が悪いと労力のムダ」と話す和田さん
なお、この日の様子は特別番組として「岩手めんこいテレビ」にて、放送される予定です。放送日時が決まりましたら、チームスマイルのFacebookおよびTwitterでお知らせします。