“わたしの夢”応援プロジェクトvol.14「浅葉克己さんと佐藤可士和さんのふるさとポスター教室」が開催されました。
2018/04/05
3月25日(日)、いわきPITにて『“わたしの夢”応援プロジェクトvol.14「浅葉克己さんと佐藤可士和さんのふるさとポスター教室」』を開催しました。今回のイベントを開催するにあたって、以下の条件でポスターを募った結果、市内の高校生を中心に、最終的に38点の作品が集まりました。ご応募下さった皆様、ありがとうございました。
≪今回募集したポスターの条件≫
- いわきの魅力を市外に訴求するポスター
- 版型はB3
- ポスター上で使っていい文字は「いわき(カタカナも可)」「IWAKI(小文字および小文字交じり可)」のみ
- バックは自由(絵、写真、色模様、幾何学模様等)
今回のゲストである浅葉克己さんと佐藤可士和さんが、作品の審査をするために早朝から会場である『いわきPIT』を訪れました。審査をするにあたって、「まずはいわきのことを教えてください」と佐藤さん。一年を通して日照時間が長く、素晴らしい気候に恵まれた土地で、フラダンスが盛んだということ。寒流と暖流がちょうどぶつかる潮目があり、美味しい海の幸がたくさん獲れ、特にメヒカリが有名だということ。1968年に当時高校生だった鈴木氏によって恐竜の化石が発掘され、『フタバスズキリュウ』として有名になったこと。矢内代表やいわきPITのスタッフから、様々ないわきの魅力が伝えられました。
故郷いわきの魅力や、今もなお尾を引く被災地の現状を語るチームスマイル矢内代表
いわきの情報を携えながら、ホワイエ中にずらりと並べられた力作をじっと見つめ、金賞と銀賞への選り分けを行います。当初、全ての作品を半分ずつ金賞と銀賞に分けることを考えていましたが、さらにその中から、浅葉さんと佐藤さんからの提案で「グランプリ」「浅葉克己賞」「佐藤可士和賞」の3作品を選出することに。
一点一点の作品に、真摯に向き合う二人。作品を眺めて「エネルギーに溢れているね」と浅葉さん
「これは金賞」と思う作品に浅葉さん、佐藤さんがそれぞれ付箋でしるしをつけていきます
一通りの審査を終えた浅葉さん、佐藤さんとチームスマイル一行は、いわきPITを出発し、地元の視察ツアーへ出発しました。まず訪れたのは、『正月荘』。江戸末期創業の老舗料亭で、地元の食材をふんだんに使った昼食を頂きます。こちらの正月荘では震災時、家を流されてしまった方々に部屋を開放し、食事を提供していたそうです。
「いまだに農産物、海産物の風評被害は尾を引いている」と語るのは正月荘・鈴木専務
いわきの海の幸を楽しんだ一行は正月荘を後にし、震災時に津波で甚大な被害を受けた『岩間海岸』へ向かいます。震災で波にさらわれて何もなくなってしまったその土地には、真っ白な防波堤が延々と続き、その向こう側に綺麗な太平洋が広がります。
近くにある巨大な火力発電所も、当時は大きな被害を受けました
特別番組のために密着取材をしていた『岩手めんこいテレビ』のインタビューを受ける佐藤さん
震災前は大勢の海水浴客で賑わっていたという岩間海岸。綺麗な青空の下、波の音が静かに響きます
復興への想いを胸に、風景を写真に収める浅葉さん
以前とはすっかり姿を変えてしまった風景に、津波の凄まじさを改めて実感した一行は、復興への想いとともに、高校生たちの待つ『いわきPIT』に戻りました。
イベントのオープニング。客席前方部には、作品の応募者が座り、皆さん緊張の面持ちでステージを見つめます
イベントでは、大きなスクリーンに作品が1点ずつ映し出され、金賞と銀賞が発表されていきます。「この女の子は誰?」「どうしてこの梨は半立体になっているの?」「この写真は撮り下ろし?」など、作品について細かく作者に聞きながら、全ての作品に対して、お二人から一点ずつ丁寧なコメントやアドバイスが続きます。休憩時、楽屋では「どうしてこういう作品にしたのか、本人から聞くことが大切。よく考えて作った作品は、ちゃんと自分の口で説明できるんだよね」と佐藤さん。
「何事もまずは本質をとことん学んで、自分の血と肉にすることが大事(浅葉さん)」
「誰に、どんな方法で、何を伝えたいか、その目的をしっかりと考えるところから始めて(佐藤さん)」
手振りを交えながら、一生懸命自分の作品について説明する高校生
最後は「グランプリ」「浅葉克己賞」「佐藤可士和賞」が発表され、応募者だけでなく観客からも温かく大きな拍手が送られました。グランプリを受賞した山本花音さんは、驚きながら登壇し「いわきの海は、県外の方にはあまり良いイメージがないかもしれない。だから、綺麗に描きたかった」とコメントしました。なお、今回の出展作品は以下よりご覧頂けます。
「浅葉克己賞」を受賞した、いわき総合高校の國分優希さん
「佐藤可士和賞」を受賞した、磐城桜が丘高校の西山七海さん
「グランプリ」を受賞した湯本高校の山本花音さん
全ての作品の講評を終えたのちに、浅葉さんと佐藤さんからそれぞれ、これまで手掛けてきた仕事の紹介がありました。質問コーナーで客席の男性から「仕事は楽しいですか?」という質問が飛ぶと、思わず笑いながらもふたり揃って「楽しいですよね」と即答。「自分でも楽しくしようとしている」と佐藤さん、「楽しいことを探そうという気持ちが大事」と浅葉さん。
浅葉さんがアートディレクションを手掛けた、有名な『西武』のポスター。中央に映るのは映画監督のウディ・アレン
バックは、佐藤さんデザインの『Tポイント』のロゴ。「携帯の画面で見てもすぐに視認できるマークにした」と佐藤さん
★今回のイベントは、4/27(金)25:55~福島テレビで、4/29(日)25:35~岩手めんこいテレビで特別番組として放送されます!
東北の高校生たちの初々しい作品と、日本デザイン界を牽引するおふたりのアドバイスをお楽しみに。
今回出展された、全38作品です。