“わたしの夢”応援プロジェクトvol.17 「川淵三郎さんと考える『サッカーがFUKUSHIMAにできること』」が開催されました。
2018/07/26
“わたしの夢”応援プロジェクトvol.17 「川淵三郎さんと考える『サッカーがFUKUSHIMAにできること』」が、7月16日(月・祝)、福島県のいわきPITで開催されました。
イベント当日、東京からの特急をいわきで降りた川淵三郎さんは、イベントのトークゲストである大倉智さん(いわきFC代表取締役)、高倉麻子さん(プロサッカー指導者)と合流し、貸切バスで、ただちに新生Jヴィレッジの視察へ向かいます。バスの最後列で、サッカー界の後輩である大倉さん、高倉さんと旧交をあたためながら、いわき市の北側に隣接する双葉郡の楢葉町へ。Jヴィレッジが、車窓の向こうに見えてきました。
Jヴィレッジは、1997年に設立されたスポーツ施設。日本サッカー界のナショナルトレーニングセンターとしておなじみです。2011年から2013年までは、福島第一原子力発電所事故の対応拠点という、スポーツ振興とはまったく異なる重い役割を担いましたが、ついに、今年の7月28日(土)、待望の一部営業再開のときを迎えます。
Jヴィレッジに向かうバスの最後列で語らう川淵三郎さん、高倉麻子さん、大倉智さん。
Jヴィレッジに到着しました。
施設内のレストランで昼食後、展望室に立った川淵さん、大倉さん、高倉さん。晴天の下、緑一面のサッカー場が、眼下に広がります。復興の確かな足音を実感した一行は、展望室の傍らにある蹴球(サッカー)神社で、二礼二拍一礼の参拝をした後、Jヴィレッジの上田副社長、小野専務の案内のもと、施設内の会議室や客室、アリーナや全天候型サッカー練習場、施設のすぐそばに建設中の常磐線「Jヴィレッジ新駅」など、短い時間で盛りだくさんの視察を行いました。全国のサッカー少年、少女たちにとっての憧れの「聖地」の復活を目にして、一行の笑顔も大きくほころびます。
展望室からは、広大なJヴィレッジの施設が見下ろせます。
2013年6月まで、このピッチは福島第一原子力発電所事故対応の駐車場でした。
蹴球(サッカー)神社に参拝しました。
常磐線「Jヴィレッジ新駅」。完成は2019年4月。
いわきPITに戻って、いよいよ、トークイベント「川淵三郎さんと考える『サッカーがFUKUSHIMAにできること』」の開演です。満場の観客を前に、まずは川淵さんのミニ講演。講演のテーマである「サッカーがFUKUSHIMAにできること」を中心に置きつつも、川淵さんのトークは自由自在に転調します。歴代日本代表監督の思い出から、高校生への人生のアドバイスまで、幅広く、熱っぽく、終始笑いが絶えない楽しい内容。
いわきPITのホワイエには、サッカーキッズの姿も多数。
イベントのオープニング。3人を、大きな拍手が包みます。
講演中の川淵三郎さん。ゆるがない信念がまっすぐ伝わってきます。
満員御礼の客席に、熱気が漂います。
講演のあとは、大倉さん、高倉さんを交えた鼎談で1時間。川淵さんは、「Jヴィレッジは、2019年ラクビーW杯のアルゼンチン代表チームの合宿地の候補にもなっている。このように、サッカーにはとどまらない国際スポーツでの利用や、子どもたちの大会など、さまざまな年代へ門戸を開いていきながら、福島の浜通り(県東部の太平洋沿岸地域)の活性化に貢献していきたい」と語りました。また、いわきFCの「スポーツの力でいわき市を東北一の都市にする」という理念に触れ、「この理念に強く感動した。かつて、Jリーグの開会宣言で『スポーツを愛する多くのファンの皆様に支えられまして、Jリーグは今日ここに大きな夢の実現に向かってその第一歩を踏み出します。1993年5月15日、Jリーグの開会を宣言します。Jリーグチェアマン、川淵三郎』とスピーチした。そのとき、サッカーという言葉はひと言も使っていない。いわきFCも、サッカーという言葉をまったく使わずに、夢のある理念を語っている。同じ精神を感じてとてもうれしい」と、いわきFCの活躍に熱い期待を寄せました。
後半戦の鼎談がスタート。
いわきFC代表取締役の大倉智さん。いわきへの思いが言葉に溢れます。
プロサッカー指導者の高倉麻子さん。勝負師は素敵な笑顔の持ち主でした。
いわきFC代表取締役の大倉さんは「いわきFCは天職だと思っている。Jヴィレッジと協働して、地域の活性化に尽力したい。サッカーだけの振興に限定せず、理念にサッカーという言葉を入れなかったのも、もちろん意識してのこと」と、川淵さんからのエールに応えました。また、福島市出身で、これまで多くの女子チームの監督を務めてきた高倉麻子さんは、「いろいろな世代の女子チームの合宿でJヴィレッジを利用してきたが、再びJヴィレッジがサッカーのための場所に戻ってきてうれしい。福島県ばかりでなく、女子サッカーは、子どもたちがサッカーをはじめる環境自体が整備されていない現状だが、それを変えていくのがわたしたち先輩の義務」と語り、福島県出身、女子スポーツ指導者という独自の視点から、鼎談に彩りを添えました。
2018ロシアW杯決勝のTV生中継からわずか15時間後のトークイベント。サッカーが紡いでいく希望は、ここにもありました。
撮影:Suzuki Jouji