“わたしの夢”応援プロジェクトvol.16 「渡辺貞夫さんのブラスバンド・クリニック」が開催されました。

2018/07/05

“わたしの夢”応援プロジェクトvol.16 「渡辺貞夫さんのブラスバンド・クリニック」が、6月24日(日)、宮城県の仙台PITで開催されました。

イベント前日の6月23日(土)、東北新幹線で盛岡から仙台入りした渡辺貞夫さんとバンドメンバー一行は、チームスマイルのスタッフと合流し、貸切バスで、仙台の復興状況を視察するツアーに出発しました。

仙台駅から車で約30分の荒浜地区は、被災した仙台市立荒浜小学校が、震災遺構として保存されています。学校の4階には、本来そこにあったはずの、かつての荒浜地区の町並みを再現したジオラマがありました。4階から見下ろす実際の風景は、すべて津波に流されてしまっていて、まったく何もありません。ジオラマと実際の風景の残酷なギャップを、渡辺貞夫さんがじっと見つめていたのが印象的でした。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校にて。かつての荒浜地区のジオラマを見つめる渡辺さん。一軒一軒、小さなプレートに、ありし日の記録が書かれています。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校にて。かつての荒浜地区のジオラマを見つめる渡辺さん。一軒一軒、小さなプレートに、ありし日の記録が書かれています。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校の屋上から見える、現在の風景。言葉を失います。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校の屋上から見える、現在の風景。言葉を失います。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校にて。かつての荒浜地区のジオラマを見つめる渡辺さん。一軒一軒、小さなプレートに、ありし日の記録が書かれています。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校にて。かつての荒浜地区のジオラマを見つめる渡辺さん。一軒一軒、小さなプレートに、ありし日の記録が書かれています。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校の屋上から見える、現在の風景。言葉を失います。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校の屋上から見える、現在の風景。言葉を失います。

小学校からほど近くの東日本大震災慰霊塔では、渡辺貞夫さんが代表献花をした後、全員で30秒の黙祷を捧げました。視察ツアーの最後に訪れたせんだい3.11メモリアル交流館では、震災被害や復旧・復興の状況を伝える写真や、震災前・震災後の状況をリアルに写したスライドへ、まっすぐなまなざしを注ぐ渡辺さん。

東日本大震災慰霊塔にて。花を献じた後、帽子を取って30秒の黙祷を全員で。

東日本大震災慰霊塔にて。花を献じた後、帽子を取って30秒の黙祷を全員で。

3.11メモリアル交流館。震災の記憶を風化させまいとする思いが伝わってきます。

3.11メモリアル交流館。震災の記憶を風化させまいとする思いが伝わってきます。

東日本大震災慰霊塔にて。花を献じた後、帽子を取って30秒の黙祷を全員で。

東日本大震災慰霊塔にて。花を献じた後、帽子を取って30秒の黙祷を全員で。

3.11メモリアル交流館。震災の記憶を風化させまいとする思いが伝わってきます。

3.11メモリアル交流館。震災の記憶を風化させまいとする思いが伝わってきます。

翌6月24日(日)は、いよいよ、ブラスバンド・クリニックとミニ・ライヴの本番です。昼すぎには、渡辺貞夫さん一行に先んじて仙台PITに到着した仙台向山高校と仙台城南高校の吹奏楽の高校生たちが、到着した楽器運搬トラックから忙しそうに楽器を下ろしています。仙台向山高校は参加生徒51名、仙台城南高校は参加生徒13名。普段経験しているはずのコンクールなどとは、またちょっと違うイベント体験に、それぞれの目が輝いています。

渡辺貞夫さんとバンドメンバーの方たちが到着し、ミニ・ライヴのためのサウンドチェックも終了。「渡辺貞夫さんのブラスバンド・クリニック」が、予定通り15:00に開演しました。渡辺貞夫さんと、ピアノの林正樹さん、ベースのコモブチキイチロウさん、ドラムスの竹村一哲さん、パーカッションのンジャセ・ニャンさんが、すでにスタンバイした先発の仙台向山高校吹奏楽部の正面の客席に座り、仙台向山高校の「フライ・ハイ」の演奏がスタートしました。仙台向山高校のクリニックは40分、入れ替えの後、仙台城南高校「銀河鉄道999」のクリニックが、同じく40分。

仙台向山高等学校吹奏楽部51名。壮観です。本番直前、顧問の先生が最後のチェックを入念に。

仙台向山高等学校吹奏楽部51名。壮観です。本番直前、顧問の先生が最後のチェックを入念に。

仙台城南高等学校吹奏楽部は少数精鋭の13名。OBも助っ人メンバーで参加していました。

仙台城南高等学校吹奏楽部は少数精鋭の13名。OBも助っ人メンバーで参加していました。

仙台向山高等学校吹奏楽部51名。壮観です。本番直前、顧問の先生が最後のチェックを入念に。

仙台向山高等学校吹奏楽部51名。壮観です。本番直前、顧問の先生が最後のチェックを入念に。

仙台城南高等学校吹奏楽部は少数精鋭の13名。OBも助っ人メンバーで参加していました。

仙台城南高等学校吹奏楽部は少数精鋭の13名。OBも助っ人メンバーで参加していました。

どちらの高校に対しても、渡辺貞夫さんの指導は一貫しています。①できるだけ密集して、お互いの連携を取りながら演奏すること、②立って演奏した方がいい音になること、③腹式でしっかり音を出すこと、④自分だけの音を追及すること。口調は穏やかでも、ときに、厳しい内容のアドバイスも飛びます。「高校生のきみたちが、観客に手拍子を求めるなんて、残念だ。いい演奏なら、手拍子は自然に起きるものなんだからね!!」。

仙台城南高等学校のクリニックから。「もっと近づいて、かたまりになって演奏しようよ」。

仙台城南高等学校のクリニックから。「もっと近づいて、かたまりになって演奏しようよ」。

仙台向山高等学校のクリニックから。「フルートはもっと強く、お腹から音を出して!!」。

仙台向山高等学校のクリニックから。「フルートはもっと強く、お腹から音を出して!!」。

仙台城南高等学校のクリニックから。「もっと近づいて、かたまりになって演奏しようよ」。

仙台城南高等学校のクリニックから。「もっと近づいて、かたまりになって演奏しようよ」。

仙台向山高等学校のクリニックから。「フルートはもっと強く、お腹から音を出して!!」。

仙台向山高等学校のクリニックから。「フルートはもっと強く、お腹から音を出して!!」。

「ぼくのバンドのメンバーにも、手伝ってもらおうか」。渡辺さんの指示で、どちらの高校のクリニックにも、ピアノ、ベース、ドラムス、パーカッションのメンバーが、高校生たちに混じって、パート譜を見ながら初見で演奏に参加します。プロのミュージシャンの正確かつパワフルなサポートが、高校生たちの音楽家魂に火をつけたようです。見る見るうちに、どちらの高校の演奏も力強く、音が格段によくなって、グルーヴが生まれているのが、そこにいる全員にはっきりとわかりました。

渡辺貞夫クインテットのベーシスト・コモブチキイチロウさん、仙台向山高等学校と共演中。

渡辺貞夫クインテットのベーシスト・コモブチキイチロウさん、仙台向山高等学校と共演中。

観客席はこの写真の左側、渡辺貞夫さんの後ろ。つまり、仙台城南高等学校吹奏楽部は、ギャラリーに背を向けて演奏しています。彼らの目の前には、プロのミュージシャンが。

観客席はこの写真の左側、渡辺貞夫さんの後ろ。つまり、仙台城南高等学校吹奏楽部は、ギャラリーに背を向けて演奏しています。彼らの目の前には、プロのミュージシャンが。

渡辺貞夫クインテットのベーシスト・コモブチキイチロウさん、仙台向山高等学校と共演中。

渡辺貞夫クインテットのベーシスト・コモブチキイチロウさん、仙台向山高等学校と共演中。

観客席はこの写真の左側、渡辺貞夫さんの後ろ。つまり、仙台城南高等学校吹奏楽部は、ギャラリーに背を向けて演奏しています。彼らの目の前には、プロのミュージシャンが。

観客席はこの写真の左側、渡辺貞夫さんの後ろ。つまり、仙台城南高等学校吹奏楽部は、ギャラリーに背を向けて演奏しています。彼らの目の前には、プロのミュージシャンが。

パーカッションのンジャセ・ニャンさんの音の大きさにびっくり。

パーカッションのンジャセ・ニャンさんの音の大きさにびっくり。

パーカッションのンジャセ・ニャンさんの音の大きさにびっくり。

パーカッションのンジャセ・ニャンさんの音の大きさにびっくり。

クリニックが終了した後、場内整理と準備のための1時間を挟んで、17:30、渡辺貞夫クインテットのミニ・ライヴがスタートしました。「ずっと求め続けているのは、いい音。それだけ」。クリニックのとき、高校生の質問に、渡辺貞夫さんが答えたとおりの、濁りのない、まっすぐ躍動的でパワフルなアルトサックスの音色が、会場全体を包みます。タイトなバンドの演奏が、渡辺貞夫さんのブロウに挑みかかり、同時に、サポートしています。アンコールを含む全11曲65分はあっという間。満場の拍手と歓声の量が、今日一日の充実をそのまま表すバロメータでした。

ミニ・ライヴの渡辺貞夫さん。絵になります。

ミニ・ライヴの渡辺貞夫さん。絵になります。

上着を脱ぎ捨てて、ますますエネルギッシュに。渡辺貞夫クインテットのミニ・ライヴは全11曲65分の至福。

上着を脱ぎ捨てて、ますますエネルギッシュに。渡辺貞夫クインテットのミニ・ライヴは全11曲65分の至福。

ミニ・ライヴの渡辺貞夫さん。絵になります。

ミニ・ライヴの渡辺貞夫さん。絵になります。

上着を脱ぎ捨てて、ますますエネルギッシュに。渡辺貞夫クインテットのミニ・ライヴは全11曲65分の至福。

上着を脱ぎ捨てて、ますますエネルギッシュに。渡辺貞夫クインテットのミニ・ライヴは全11曲65分の至福。

音楽を通じた、プロと高校生の真剣勝負の一日。ここから、明日の渡辺貞夫さんを目指す高校生が生まれてくることを願ってやみません。

視察ツアー写真 撮影: Naoto Kita
イベント写真 撮影: fumiaki omori (f-me)