ライブ・エンタテインメント市場は力強く回復。2023年予測値は前水準より一段の上振れ濃厚/ ぴあ総研が2022年確定値公表、及び将来予測値を更新

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2023年12月22日

ぴあ総研が、毎年行っているライブ・エンタテインメント市場の調査結果、及び最新の将来予測値を公表しました。

コロナ禍3年目だった2022年。感染拡大抑制と経済活動の両立が図られるなかで、ライブ・エンタテインメント市場は復活への着実な歩みを進め、市場規模はコロナ禍前(2019)89.8%5,652億円まで回復しています。コロナ禍で抑制された供給・需要の双方における反動増が、市場回復を促しました。特に、集客力のある大規模イベントが市場の伸びを牽引し、加えて、平均単価の上昇がプラスに働きました。

2023年は、アフターコロナの経済環境への移行が本格化し、より力強い回復が続いています。ぴあ総研では、ライブ・エンタテインメント市場は早ければ2023年にコロナ前の水準に回復する可能性がある、との予測値を2021年時点で公表していましたが、足元の市況を踏まえ、2023年の予測値を6,330億円から6,408億円に上方修正しました。

ただし、回復は力強いものの不均衡で、特に小規模公演の復活が遅れていることが懸念材料です。さらに、深刻な人員・人材不足が顕在化していることが、持続的な成長のブレーキになりかねない状況を招いており、今後の動向に注視する必要があります。

調査結果は以下のとおりです。

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2022年のライブ・エンタテインメント市場規模(確定値)】

2022年の国内ライブ・エンタテインメント市場規模は、前年の 3,072億円から 2,580億円増加し5,652億円(対前年増減率 +84.0%)、コロナ禍前の2019年の6,295億円との比較では10.2%減まで回復しました。ただし、コロナ禍によるダメージは尾を引いており、公演回数は2019年からの増減率-37.5%の84,988回、延べ動員数は同-17.9%の6,801万人、と市場規模に比べ回復が遅れています。公演回数の回復の遅れを、公演規模の拡大と、平均単価の上昇がカバーしている状況で、平均単価(=市場規模÷動員数)2019年の7,600円から8,310円に上昇しています。

ジャンル別にみると、音楽の市場規模は2019年からの増減率-6.9%の3,946億円、ステージは-17.1%減の1,705億円と、音楽の回復率がステージを上回りました。2022年になってイベント開催における収容人数や収容率の制限緩和が進んだことで、長期化した行動制限の影響が色濃く残っていた音楽ジャンルが急速なペースで復活しました。

■本調査結果のサマリーはこちら
┗市場規模、公演回数、動員数についての2017年からの推移をまとめています。


2023年から2035年までのライブ・エンタテインメント市場規模(将来予測値)】

対面での体験の価値が再認識される中、リアルライブの価値が増しています。ぴあ総研では、足元の市況を踏まえ、2021年時点で公表した2023年以降のライブ・エンタテインメント予測値をこのたび更新しました。

2023年のライブ・エンタテインメント市場規模を、前回の6,330億円から6,408億円に上方修正。このままライブ・エンタテインメント参加意欲が衰えず、新たに各地でオープンする新規会場が安定稼働するならば、2035年には6,732億円まで市場が拡大する可能性もあるとみています。全国各地において計画されている大規模会場の新設により、コロナ禍前に市場成長の阻害要因となっていた大規模会場不足問題が解消に向かうであろうことと、平均単価の上昇が不可逆的であろうことが主因です。

一方で、帝国劇場が2025年から一時休館するなど、高度経済成長期に設置された劇場・音楽堂等の改修・建替え等が今後相次ぐことや、深刻な人員・人材不足が顕在化していることは持続的な成長のブレーキになりかねません(マイナス要因として2035年までの予測値に織り込み済み)。現在、市場規模が急回復に向かう中、コロナ禍で浮き彫りになった様々な課題への対策や、新たな取り組みへの動きを止めることなく、持続可能な成長に向けた抜本的な変革に取り組む必要があると考えています。

* ライブ・エンタテインメント市場規模=音楽コンサートとステージでのパフォーマンスイベントのチケット推計販売額合計と定義。
* オンラインライブは含まない。
* 2022年1月~12月に開催されたイベントが今回の確定値の対象。
* 2021年に公表した2023年以降の将来予測を、2023年12月時点の推計として更新。