社長からのごあいさつ

ポストコロナに向けて、変身の舵を切り、ぴあは大きく変わります ぴあ株式会社代表取締役社長 矢内 廣(Hiroshi Yanai) ポストコロナに向けて、変身の舵を切り、ぴあは大きく変わります ぴあ株式会社代表取締役社長 矢内 廣(Hiroshi Yanai)

自ら開催制限を受け容れた、ライブ・エンタテインメント業界の苦境

皆様には平素よりご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。中期経営計画の最終年度にあたる2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、当社も深刻な影響を受けることとなりました。昨年2月、政府から真っ先に名指しで自粛要請を受けたライブ・エンタテインメント業界は、準備を重ねてきた興行やイベントを自ら中止するという、まさに苦渋の決断をしました。その後も、政府によるイベントの開催制限を受け容れ、お客様の協力のもと、徹底した感染拡大防止策を講じた上でイベントを開催し、集団感染やクラスターの発生を未然に防いできました。観客を増やした実証実験も含め、少なくとも会場やスタジアム内で集団感染等が発生した事実は一度もないにもかかわらず、未だに明確な根拠が何も示されぬまま、開催制限が延々と続けられているのが実態です。その結果、前年実績に比して、実に約8割にも相当する市場が消失してしまいました。
すでに開示させていただきました通り、この業界で事業を展開する当社も大きなダメージを受け、過去最大の赤字決算を余儀なくされました。コロナ禍の収束が見通せない中、現時点では3ヶ年の経営計画の公表もかなわず誠に心苦しく存じますが、今後の事業継続に必要な資金はすでに充分に確保されており、ポストコロナを見据えた施策も鋭意進めております。
同時に、コロナ禍によって日本の文化芸術、エンタテインメントやスポーツの大切な未来が失われぬよう、映画、音楽、演劇、スポーツの4つの業界を横断的に連携させた「集客エンタメ産業連絡会」の事務局として、政府には、これまでの逸失利益や事業継続への助成、宣言解除後の回復支援、開催制限の早急な緩和等を強く求めてまいりました。

エンタテインメントの未来を守るために、いま当社にできることを

コロナ禍において、リアルでの公演に代えてアーティストに活動の場を提供したい、との思いから立ち上げたライブ動画配信サービス「PIA LIVE STREAM」は、多くのアーティストとファンの方々にご利用いただき、動画コンテンツの配信プラットフォームとして定着しました。また、当社の強みを生かせればと、「チケットぴあ」のシステムを活用した「ワクチン接種受付予約・抽選サービス」の開発・提供も決めました。一日も早く、満員の会場で、大歓声とともにイベントを楽しんでいただける日が来るよう、自治体のワクチンの接種拡大に協力していければと思っております。
また、コロナ禍の中で開業した「ぴあアリーナMM」につきましても、当初予定されていた数多くのイベントが中止・延期となりましたが、現在は万全の感染症対策とともに、入場者数の制限も遵守した上で公演を開催し、お客様にもご来場いただいております。お陰さまで、今後しばらくは貸館予約もほぼ埋まっており、コロナ禍さえ収束すれば、当社収益にも大きな貢献があるものと想定しています。

ポストコロナ時代に向け、今こそ新たなるチャレンジを

さらに、「ピンチ」を「チャンス」に変えるべく、さまざまな取り組みも始めております。本決算時には、三菱地所株式会社との業務・資本提携を発表しました。「空間」と「場」を持つ同社と、「コンテンツ」と「仕組み」を持つ当社の強みを相互に活かし、今までにない発想で新たな事業機会を拡大していきたい考えです。また、チケットエージェント大手3社が共同で取り組むチケッティング業務の共通基盤システムの開発や、AIによってチケット価格が変動する「ダイナミック・プライシング」の導入先の拡大などにより、業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も図ってまいります。
そして、目の前に迫った東京オリンピック・パラリンピックの受託業務の完遂を目指し、万全の準備を整えるとともに、さらに新しいサービスや事業の開発にも着手しています。来るべき復活の日を見据え、当社がこれまで培ってきたシステムとノウハウを活用し、今後も可能な限りのチャレンジを続けてまいります。

全社一丸となって“変身”の舵を切り、新しいぴあに

このコロナ禍を「変身」のフックにするべく、バリューチェーンの強化や新規事業の開発、異業種とのアライアンスなどを積極的に進める一方、従業員の健康と安全を守るため、在宅型勤務の導入に舵を切り、かねてより着手してきた「働き方改革プロジェクト」の推進も加速させました。雇用を死守し、経営基盤をさらに盤石にするべく、資本の拡充やRS(譲渡制限付き株式)の付与も行いました。また、当社の会社としての「ありよう」を「ぴあコーポレート・アイデンティティ(CI)」としてまとめ、全従業員に共有しました。こうした取り組みを通じて、この難局を全社が一丸となって乗り切ることで、これまで以上にグループの「一体感」や「働きがい」を高めていきたいと思っています。
ライブ・エンタテインメント業界に身を置く当社にとっては、依然として厳しい試練の日々が続いており、すでに取締役・執行役員報酬の減額の継続も決めましたが、全役員・社員が知恵と工夫をもって困難に立ち向かい、これを「チャンス」に変え、来る2022年の創業50周年を笑顔で迎えられるよう努めてまいる所存です。皆様にはどうか引き続き、温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(2021年6月掲載)